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​つながる経済フォーラムちば

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 冷戦が終わり、資本主義が世界を席巻するようになって30年近くが経過しました。グローバリズムと呼ばれる市場万能経済、国際金融資本流通は、2008年のリーマンショックで大きな痛手をこうむりましたが、その後もこの大きな流れは変わっていません。その結果、世界的に格差がひろがり、貧困層が増大しており、それが、排他的民族主義が拡大する要因にもなっています。資本主義は、全般的な危機に陥っており、今、世界は、新たな価値観の模索が始まっているのです。

また、温暖化に象徴される地球環境の激変への対応も、世界レベルで迫られています。気候変動による異常気象は、毎年、世界各地で多大の被害をもたらしており、もはや、「日常」になろうとしています。人類の生存が脅かされているのです。経済発展を前提としつつ地球環境を破滅から救うことが本当に可能なのでしょうか。産業革命以来、250年以上にわたって、人類は飛躍的な経済成長を実現してきましたが、それは、地球環境を犠牲にしてもたらされたものでした。しかし、それももはや限界に近づいています。

 日本の現状は、この世界の脈絡の中にありますが、特に、人口減少、少子・高齢化の進行は世界の最先頭を走っており、日本に追随する韓国、中国をはじめとする全世界から注視されています。社会保障人口問題研究所の予測では、総人口は2060年には9300万人(2017年から△3350万人)に減少するとされますが、要介護者が急速に増大する75歳以上の人口は2055年ころまで増え続け、現在より500万人も増えるのです。一方、昨年100万人を切った出生数は、2060年には、58万3千人に減少するとされています(いずれも、出生率中位、死亡率中位の推計による)。この国は、今のままでは、こうした危機的な状況を乗り切ることは到底できないのではないでしょうか。また、人口減少、少子・高齢化の問題のみならず、相対的貧困率が15・6%、子どもの貧困率、13.9%、ひとり親家庭の貧困率50.8%(いずれも厚労省国民生活基礎調査)と、先進国の中でもきわめて高い水準にあります。これらの人々の多くが、ただ貧しいだけでなく、社会的な孤立をともなって、地域社会から疎外されているのが、「現代の貧困」の特徴です。

 そして、2020年、新型コロナウイルスにより、世界の風景が一変しました。昨年12月に武漢で初めての感染者が発生して以来、2020年12月2日現在、世界で6300万人以上が感染し、148万人が死亡、日本ではそれぞれ15万人、2100人が被害を受けています。ほとんどの人の日常生活が大きく変化したのはもちろん、低所得者、生活困窮者、障害者など、弱い立場の人がさらに苦しい日々を余儀なくされています。世界の貧困地域では、飢餓人口がコロナ以前から倍増して、2億7000万人に達しているとされます。コロナ禍は終息するのか、それとも、私たちの日常は長期にわたって大きく変化していくのか、いまのところ、なんとも言えません。しかし、私たちは、コロナ禍を含めた、すべての地球的な危機に真摯に向き合い、政治、経済の構造を大きく転換していくことが求められているのです。

 

 そこで、私たちは、「つながる経済(社会的連帯経済)」を広げる活動を提唱し、フォーラムの開催を呼びかけます。

 

 今、世界各地で「社会的連帯経済」が広がりつつあります。「社会的連帯経済」は、「社会的経済」と「連帯経済」をつなげた言葉です。社会的経済は、1980年代にフランスで使われ始めた言葉であり、のちに、EUの雇用政策において重要な存在と位置付けられました。主に協同組合、NPO、財団そして共済組合などの非営利法人が社会的経済を構成しているとされています。一方、連帯経済は、1990年代の中南米で生まれ、その後ヨーロッパやアジアなど他の大陸でも使われるようになりました。貧困層の自立をめざす運動的要素が強い経済活動で、たとえばフェアトレードやマイクロクレジットといった運動がそれにあたります。

 近年では、この2つの用語をつなげて「社会的連帯経済」として使われることが主流になりつつあります。それは、規模の大小や歴史的背景を超えて、お金のための経済活動ではなく、社会をよくするための、人間的な経済の発展がより切実に求められるようになっているからです。

 これからの経済活動は、貧困・格差を縮小し、地球環境を保全する方向に大きく舵を切ることが必要です。「社会的連帯経済」の拡大が必要とされているのです。国連加盟の195か国が賛同したSDGs(2030年を目標年とする持続可能な開発目標)もこの脈絡の中に位置づけられます。「誰一人として取り残さない」という標語は、SDGsがはらむ限界(脱成長ではなく、開発が前提になっていること)を超えて、私たちにその意義を訴えます。私たちは、社会的連帯経済を「つながる経済」と呼んで、そのネットワークを広げていくことをめざします。折しも、2020年12月4日に、待望久しい「労働者協同組合法」が成立しました。その目的第1条には、「多様な就労の機会を創出することを促進するとともに、当該組織を通じて地域における多様な需要に応じた事業が行われることを促進し、もって持続可能で活力ある地域社会の実現に資することを目的とする。」とあり、今後、「つながる経済(社会的連帯経済)」の重要な担い手になることが期待されます。

 

 私たちは、「つながる経済(社会的連帯経済)」を非営利団体のみならず、営利企業も含めて、「営利のみを目的とせず、人と自然を大切にする事業活動」と位置付け、その活動を広げていきたいと思います。そして、こうした事業に取り組む団体の交流の場、「つながる経済(社会的連帯経済)フォーラムちば」を開催し、賛同者を広げます。

 

令和3年3月

​世話人メンバー

50音順(敬称略)

2024年1月現在

飯田 耕一 (NPO法人地域創造ネットワークちば理事長)

飯田 大輔 (社会福祉法人福祉楽団理事長)

池田  徹 (社会福祉法人生活クラブ風の村特別常任顧問)

伊丹謙太郎 (法政大学連帯社会インスティテュート教授)

山田   浩史 (企業組合労協センター事業団東関東事業本部長)

五十嵐紀子 (ワーカーズコレクティブ千葉県連合会副理事長)

木村 庸子 (社会福祉法人生活クラブ風の村副理事長)

黒河  悟 (前千葉県労働者福祉協議会会長)

下河原忠道 (株式会社シルバーウッド代表取締役)

諏訪 寿一 (株式会社諏訪商店代表取締役)

高田 宏臣 (株式会社高田造園設計事務所代表取締役)

野老真理子 (大里綜合管理株式会社代表取締役会長)

能登 昭博 (合同会社NIS会長)

福住 洋美 (生活クラブ生活協同組合[千葉]理事長)

牧野 昌子 (認定NPO法人ちば市民活動・市民事業サポークラブ代表理事)

​宮本 義勝 (誠建クリエート株式会社代表取締役社長)

守谷 晴美 (認定NPO法人コミュニティケア街ねっと専務理事)

<事務局>ちば社会的連帯経済研究所

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